【11月家計調査】
 総務省統計局が11日に11月の家計調査(家計の収支状況)を発表。

 11月の二人以上の世帯の実質消費支出(変動調整値)は前年同月比0.6%減。前月は0.3%減。
 勤労者世帯の実質実収入(変動調整値)は前年同月比0.1%増。前月は2.9%減。

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 詳細は総務省統計局で確認できます。

 11月の消費支出(以下、実質)は前年同月比0.6%減と3ヶ月連続で前年同月を下回りました。設備修繕費や通信料などの支出が前年同月を上回ったのに対し電気代のほか自動車購入やパック旅行などの支出が前年同月を下回っています。
 なお支出のブレが大きい住居等(自動車等購入費や贈与金、仕送り金を含む)を除いた消費支出も前年同月比1.1%減と2ヶ月ぶりに前年同月を下回っています。

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 品目分類別をみると設備修繕・維持を含む「住居」(+18.6%)や「教育」(+7.5%)が前月に続き前年同月を上回ったのに対し保健医療用品を含む「保健医療」(▲5.2%)や自動車関係費を含む「交通」(▲1.6%)が2ヶ月ぶりに前年同月を下回ったほか電気代を含む「光熱・水道」(▲10.0%)や魚介類・肉類を含む「食料」(▲2.2%)、パック旅行費を含む「教養娯楽」(▲2.3%)が前月に続き前年同月を下回っています。

 季節調整値でみると消費支出は前月比1.1%増の99.6(2015年=100)と2ヶ月連続で増加しました。一方、ブレが大きい住居等を除いた消費支出は前月比0.4%減の100.2と2ヶ月ぶりに減少しています。

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 まとめると消費支出は前月から増加しましたが内訳をみるとブレが大きい設備修繕費の影響が大きいように見えます。ほかの品目を見ると食品や天候が良かったこともありますが電気代が抑制、教養娯楽が前年同月を下回る状況が続いていることも踏まえると支出を抑え気味にする動きが続いているように見えます。

 次に勤労者世帯の状況をみると収入面では実収入が前年同月比0.1%増と5ヶ月ぶりに前年同月を上回りました。ただ内訳をみると配偶者収入(+4.9%)は4ヶ月連続で前年同月を上回りましたが世帯主収入(▲0.7%)は5ヶ月連続で前年同月を下回っています。

 なお実収入から税金や社会保険料などを差し引いた可処分所得は前年同月比0.3%増と5ヶ月ぶりに前年同月を上回りました。一方、消費支出は前年同月比1.5%減と2ヶ月連続で前年同月を下回っています。

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 季節調整値でみると収入面では実収入が前月比0.3%増の103.6(2015年=100)と2ヶ月連続で増加、可処分所得も前月比0.6%増の103.9と3ヶ月ぶりに増加しました。
 なお、消費支出は前月比1.2%増の99.3と2ヶ月連続で増加しています。

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 まとめると雇用の改善が続くなか世帯収入は緩やかに増加し続けていますが、世帯収入の中心である世帯主収入、その内訳の定期収入は前年同月を下回りやすく、収入の増加はなかなか体感しづらい状態となっているように見えます。このためもあってか、消費支出は収入の伸びにもかかわらず前年並みの水準で一進一退となっています。

 今後ですが世帯収入は上向いているものの世帯主収入は弱い動きが続いており先行きの収入は楽観しにくく、社会保障などの負担割合の大きさも考えると消費支出は抑制に傾きやすく一時的な要因で上下しやすい状況が続きそうです。

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