satoki_segawa

こぼれおちるもの

個人的な経済指標観測と実践している投資状況のメモです。

2016年12月

31 12月

11月鉱工業生産速報を振り返る

【11月鉱工業生産速報】
 経済産業省が28日に11月の鉱工業指数(事業所の生産・出荷・在庫状況)速報を発表。

 11月の鉱工業指数(以下、季節調整値)をみると
 生産は前月比1.5%増の99.9(2010年=100)、前月は0.0%。
 出荷は前月比0.9%増の99.2、前月は2.0%増。
 在庫は前月比1.5%減の107.0、前月は0.6%減。

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 経済産業省は基調判断を「持ち直しの動き」に上方修正しました。

 詳細は経済産業省で確認できます。

 11月の鉱工業生産は前月比1.5%増と2ヶ月ぶりに増加しました。市場予想(1.7%増)を下回りましたがはん用・生産用・業務用機械工業や輸送機械工業など加工業種を中心に生産は好調を維持しています。

 生産を業種別にみると素材業種では「化学工業」(+0.6%)や「非鉄金属工業」(+1.6%)が増加したのに対し「窯業・土石製品工業」(▲0.9%)や「パルプ・紙・紙加工品工業」(▲0.5%)、「鉄鋼業」(▲0.2%)が減少しました。
 品目別にみると合成ゴムや電気金が増加したのに対しファインセラミックスや新聞巻取紙などが減少しています。

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 加工業種では「はん用・生産用・業務用機械工業」(+3.3%)、「輸送機械工業」(+2.0%)、「電気機械工業」(+5.5%)、「電子部品・デバイス工業」(+3.6%)、「情報通信機械工業」(+4.0%)のいずれもが増加しました。
 品目別にみると数値制御ロボット、普通乗用車、エアコン、半導体集積回路、外部記憶装置などが増加しています。

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 その他の業種では「その他工業」(+1.4%)や「金属製品工業」(+1.8%)の増加が目立ちます。

 出荷を財別にみると投資財のうち資本財(+2.2%)は4ヶ月連続で増加、輸送機械を除く資本財(+2.2%)も6ヶ月連続で増加、建設財(+3.3%)は2ヶ月連続で増加しました。
 一方、消費財のうち耐久消費財(▲1.0%)は3ヶ月ぶりに減少、非耐久消費財(▲1.1%)は2ヶ月連続で減少しています。最後に生産財(+1.4%)は6ヶ月連続で増加しています。

 用途別にみると資本財ではロボットなど製造設備用や乗用車など輸送用が増加、建設財ではアルミニウムサッシなど建築用が増加しました。耐久消費財では教養・娯楽用や前月急増した乗用車・二輪車が減少、非耐久消費財では教養・娯楽用が減少しています。

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 在庫を財別にみると投資財のうち資本財(+1.4%)は2ヶ月ぶりに増加、輸送機械を除く資本財は横ばいだったのに対し建設財(▲1.6%)は2ヶ月ぶりに減少しました。
 一方、消費財をみると耐久消費財(▲2.3%)は3ヶ月連続で減少、非耐久消費財(▲0.8%)も3ヶ月連続で減少しています。

 用途別にみると資本財では建設用や輸送用が増加、建設財では建築用、土木用ともに減少しました。耐久消費財では乗用車・二輪車や家事用が減少、非耐久消費財でも家事用が減少しています。

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 今後ですが生産予測調査をみると12月が前月比2.0%増、1月が2.2%増となっており、この通りであれば6ヶ月連続で増産となります。実績は生産予測調査を下回ることがここ最近ほぼ確実となっていますが、出荷状況をみると資本財が強めな一方で消費財は一進一退となっており6ヶ月連続で増産の可能性は半々というところでしょうか。

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 業種別にみると12月の増産に寄与する主な業種は「輸送機械工業」「電子部品・デバイス工業」「化学工業」…この3業種のうち「電子部品・デバイス工業」は計画から大きく外れやすく前月比では1%前後になりそうな…。
 一方、1月の増産に寄与する業種は「はん用・生産用・業務用機械工業」や「電子部品・デバイス工業」…どちらも計画から外れやすく、逆に計画通りになることが多い「輸送機械工業」は大きく減少とやや心配になる予測となっています。

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30 12月

アメリカ12月CB消費者信頼感指数を振り返る

【アメリカ12月CB消費者信頼感指数】
 米大手民間調査機関のコンファレンス・ボード(CB)が27日に12月の消費者信頼感指数(消費者の態度や期待の調査結果)を発表。

 12月の消費者信頼感指数は前月から4.3ポイント上昇の113.7(1985年=100)。前月は10.8ポイント上昇。

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 詳細はコンファレンス・ボードで確認できます。

 12月の消費者信頼感指数は前月から4.3ポイント上昇の113.7と2ヶ月連続で上昇しました。足元の景況が悪化したものの大統領選明けということもあってか先行きでは楽観的な見方が広がり市場予想(109.0)を上回っています。

 内訳をみると足元の景況を示す現況指数は前月から5.9ポイント低下の126.1と2ヶ月ぶりに低下しましたが、半年先の景況予想を示す期待指数は前月から11.1ポイント上昇の105.5と2ヶ月連続で上昇しました。

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 調査内容をみると業況では現状は「良い」との回答が2ヶ月ぶりに減少、「悪い」との回答は2ヶ月ぶりに増加しました。先行きは「改善する」との回答が4ヶ月ぶりに増加、「悪化する」との回答は2ヶ月連続で減少しています。業況は足元では悲観的な見方が若干強まっているものの先行きでは楽観な見方が急速に広がったようです。

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 雇用では現状は「十分」との回答が2ヶ月ぶりに減少、「困難」との回答は4ヶ月ぶりに増加しました。先行きでは「増加する」との回答が2ヶ月ぶりに増加、「減少する」との回答も3ヶ月ぶりに増加しています。雇用も業況と同じように足元では悲観的な見方が強まったものの先行きでは楽観的な見方が広がっています。

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 最後に所得をみると「増加する」との回答が4ヶ月ぶりに増加、「減少する」との回答は4ヶ月連続で減少しました。所得に対する見方は業況や雇用で楽観的な見方が広がったことから増加するとの見方が広がっているようです。

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 今後ですが大統領選明け、トランプ氏の政策への期待から消費者信頼感指数は上昇しており1月については現水準を維持しそうです。以降はトランプ氏が行う政策が景況を良い状態に維持できるかどうかになり3、4ヶ月程度は見極めから横ばい圏で推移しそうです。

 
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30 12月

11月労働力調査、一般職業紹介状況を振り返る

【11月労働力調査】 
 総務省統計局が27日に11月の労働力調査の結果を発表。

 就業者数は前年同月比73万人増、前月は63万人増。
 雇用者数は前年同月比82万人増、前月は89万人増。
 完全失業者数は前年同月比12万人減、前月は13万人減。
 非労働力人口は前年同月比60万人減、前月は51万人減。

 失業率(季節調整値)は前月から0.1ポイント上昇の3.1%。

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 詳細は総務省統計局で確認できます。

 11月の失業率(季節調整値)は前月から0.1ポイント上昇の3.1%となりました。市場予想を上回り悪化となりましたが水準は低く、労働需要は高い状態が続いている模様です。

 就業者数(原数値)をみると前年同月比+73万人と前月(+63万人)から上げ幅を拡大したのに対し雇用者数は前年同月比+82万人と前月(+89万人)から上げ幅を縮小しています。しかし依然として高い伸びを示しており就業者数、雇用者数は増加傾向を維持していると判断できます。

 雇用者数を雇用形態別にみると正規の職員・従業員(+74万人→+56万人)が上げ幅を縮小、非正規の職員・従業員(+31万人→+24万人)は上げ幅を縮小しています。 正規、非正規とも雇用は増加傾向が維持されており推移をみると非正規雇用割合は今のところはまだ緩やかながら高まりやすそうです。

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 就業者数を産業別にみると「製造業」(+22万→▲5万)、「医療・福祉」(+28万→▲6万)がマイナスに転じたものの「運輸業・郵便業」(▲6万→+9万)、「卸売業・小売業」(▲6万→+9万)がプラスに転じています。

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 今後ですが製造業、非製造業ともに業績が芳しくない状況が続きやすいですが人手が不足しがちな状況は解消されていないため就業者数は一定の伸びを維持しそうです。ただ雇用形態別では正規、非正規ともに拡大しており、産業別の就業者数の推移をみると医療・福祉以外では一進一退の状況となっています。

 就業者数や失業率など量的改善が進んでいるものの賃金上昇率は小幅にとどまっていることを考えると雇用制度に手を入れない限り、消費拡大を促すような賃金上昇にはさらに労働需給が逼迫する必要がありそうでまだ時間がかかりそうです。


【11月一般職業紹介状況】 
 厚生労働省が27日に11月の一般職業紹介状況の結果を発表。

 有効求人数は前月比0.1%減、前月は1.4%増。
 有効求職者数は前月比0.3%減、前月は0.3%減。
 有効求人倍率は前月比0.01ポイント上昇の1.41倍。

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 詳細は厚生労働省で確認できます。

 11月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇の1.41倍となりました。有効求人数が3ヶ月ぶりに減少したものの有効求職者数も3ヶ月連続で減少、有効求職者数が減少傾向を維持したため有効求人倍率は上昇しています。

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 一方、有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から横ばいの2.11倍となりました。新規求人数は3ヶ月ぶりに減少、新規求職申込件数は4ヶ月ぶりに増加、ただどちらも小幅の動きとなっており新規求人倍率は横ばいとなっています。
 以前から書いているように新規求人数は少子化などもあり減少しやすく、結果として見かけの求人倍率が高まりやすい状況にあるのは注意が必要です。

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 今後ですが人手不足は解消していないため有効求人数は高水準を維持、有効求人倍率も高い状況が続きそうです。ただ企業を取り巻く環境を考えると求人数は徐々に増えにくく、求職者数も減少速度は弱まりそうで求人倍率の上昇傾向はそろそろ止まるのではないかと思います。


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30 12月

11月家計調査を振り返る

【11月家計調査】
 総務省統計局が27日に11月の家計調査(家計の収支状況)を発表。

 11月の二人以上の世帯の実質消費支出は前年同月比1.5%減、前月は0.4%減。
 実質消費支出(除く住居等)は前年同月比1.9%減、前月は0.1%減。

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 詳細は総務省統計局で確認できます。

 11月の消費支出(以下、実質)は前年同月比1.5%減と9ヶ月連続でマイナスとなりました。前月(0.4%減)から下げ幅を拡大、市場予想(0.2%減)も下回っています。支出のブレが大きい住居等(自動車等購入費や贈与金、仕送り金を含む)を除いた消費支出も前年同月比1.9%減と7ヶ月連続でマイナス、前月(0.1%減)から下げ幅を拡大しています。

 内訳をみると自動車購入費を含む「交通・通信」(▲0.1%→+5.2%)がプラスに転じたものの室内装備品を含む「家具・家事用品」(+2.8%→▲2.8%)、パック旅行を含む「教養娯楽」(+1.8%→▲2.6%)がマイナスに転じています。
 また野菜・海藻や飲料を含む「食料」(▲1.0%→▲3.4%)、「住居」(▲1.6%→▲7.7%)、洋服やシャツ・セーターを含む「被服及び履物」(▲0.2%→▲5.2%)、授業料等を含む「教育」(▲2.8%→▲10.9%)が下げ幅を拡大するなど低調な動きとなっています。

2016122708

 季節調整値でみると消費支出は前月比0.6%減の96.8(2015年=100)と2ヶ月連続で減少、住居等を除いた消費支出も前月比0.7%減の97.2と2ヶ月連続で減少しました。3ヶ月移動平均でみると一進一退となっており消費の強さは感じない内容となっています。

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 次に消費支出を日数、物価、世帯人数、世帯主年齢による変動の影響を除いた消費水準指数をみると消費支出は前月比1.1%減の97.6と2ヶ月ぶりに減少、住居等を除いた消費支出は前月比1.8%減の97.6と2ヶ月連続で減少しました。3ヶ月移動平均ではほぼ横ばい圏で推移しているように見えます。

2016122710

 最後に勤労者世帯の収入面をみると原数値では実収入が前年同月比1.0%増と2ヶ月ぶりにプラスとなりました。内訳をみると世帯主収入(+1.1%)が2ヶ月ぶりにプラス、配偶者収入(+2.2%)は3ヶ月連続でプラスとなっています。
 なお税金や社会保険料など非消費支出を除く可処分所得も前年同月比1.4%増と2ヶ月ぶりにプラス、消費支出は前年同月比0.9%減と7ヶ月連続でマイナスとなっています

 季節調整値では実収入が前月比0.4%減の98.8と3ヶ月連続で減少、可処分所得は前月比0.7%減の98.7と2ヶ月連続で減少したものの消費支出は前月比2.3%増の97.9と2ヶ月ぶりに増加しました。

2016122711

 今後ですが今回の家計調査は非常に弱い内容となっていますが他の経済指標を合わせてみると弱すぎのような気がします。とはいえ収入が伸び悩むなかで生鮮食品の価格が高騰したこともあり12月は例年に比べ消費は控えられそうです。
 また長い目で見ても社会保険料等の負担増が予想されやすく消費は持ち直すとしても非常に緩やかなものとなりそうです。


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29 12月

11月消費者物価指数を振り返る

【11月消費者物価指数】
 総務省統計局が26日に11月の消費者物価指数(家計に係る財・サービスの価格)を発表。

 11月の消費者物価指数・総合は前年同月比0.5%上昇、前月は0.1%上昇。
 生鮮食品を除く総合は前年同月比0.4%低下、前月は0.4%低下。
 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合は前年同月比0.1%上昇、前月は0.2%上昇。

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 詳細は総務省統計局で確認できます。

 11月の消費者物価指数(総合CPI)は前年同月比0.5%上昇と2ヶ月連続でプラスとなりましたが生鮮食品を除く総合(コアCPI)は前年同月比0.4%低下と前月から変わりませんでした。
 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年同月比0.1%上昇と前月(0.2%上昇)から上げ幅を縮小しています。

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 内訳をみると「食料」(+3.6%)は前月(+2.3%)から上げ幅を拡大しました。「生鮮食品を除く食料」(+0.6%→+0.5%)が上げ幅を縮小したのに対し「生鮮食品」(+11.4%→+21.6%)が急上昇しています。

 「エネルギー」(▲6.7%)も前月(▲7.9%)から下げ幅を縮小しました。「灯油」(▲19.0%→▲13.7%)「ガソリン」(▲7.7%→▲4.1%)が下げ幅を縮小しています。

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 財のうち「半耐久消費財」(+1.3%)は前月(+1.5%)から上げ幅を縮小しました。「被服及び履物」(+1.2%→+1.0%)が上げ幅を縮小したほか「理美容用品」(▲0.2%→▲1.1%)が下げ幅を拡大しています。

 「耐久消費財」(▲2.4%)は前月(▲2.2%)から下げ幅を拡大しました。「家庭用耐久財」(▲4.2%→▲3.7%)が下げ幅を縮小したものの「教養娯楽用耐久財」(▲5.5%→▲5.4%)はほぼ前月と一致、携帯電話など通信機器を含む「通信」(▲2.5%→▲3.0%)が下げ幅を拡大しています。

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 サービスのうち「公共サービス」(+0.5%)は前月(+0.6%)から上げ幅を縮小しました。運輸・通信関連サービス(0.0%→▲0.1%)がマイナスに転じています。一方、一般サービス(0.0%)は前月(+0.2%)から上げ幅を拡大しました。

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 一般サービスの内訳をみると「外食」(+0.7%→+0.5%)が上げ幅を縮小したほか宿泊料や外国パック旅行を含む「通信・教養娯楽関連サービス」(+0.5%→+0.1%)が上げ幅を縮小しています。

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 今後ですがこれまで物価を押し下げてきたエネルギー価格はプラスに転じることから物価上昇率は来年早々にプラス圏に復帰しそうですが国内消費はお世辞にも強いものとは言えない事から来年前半は0%台で推移しそうです。

 ただ生鮮食品の価格急騰が家計に与えた影響がどの程度か、アメリカ大統領選以降の円安の流れがどうなるかにより物価基調が変わりそうですのでともに注意する必要があります。


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