satoki_segawa

こぼれおちるもの

個人的な経済指標観測と実践している投資状況のメモです。

2016年07月

31 7月

6月労働力調査、一般職業紹介状況を振り返る

【6月労働力調査】 
 総務省統計局が29日に6月の労働力調査の結果を発表。

 就業者数は前年同月比72万人増、前月は46万人増。
 雇用者数は前年同月比75万人増、前月は94万人増。
 完全失業者数は前年同月比14万人減、前月は8万人減。
 非労働力人口は前年同月比60万人減、前月は34万人減。

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 失業率(季節調整値)は前月比0.1%ポイント低下の3.1%。
 性別でみると男性は前月比0.2%ポイント低下の3.2%。
 女性は前月比0.1%ポイント上昇の3.0%。

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 詳細は総務省統計局で確認できます。

 6月の失業率(季節調整値)は前月比0.1%ポイント低下の3.1%と小幅ですが改善しました。市場予想(3.2%)より良い結果となり、就業者数が前年同月比で大幅に増加となっていることから全体では量的な改善は進んだと見て良さそうですが。

 就業者数(原数値)をみると前年同月比+72万人と前月(+46万人)から上げ幅を拡大しました。就業形態別にみると自営業主・家族従業者数が前年同月比▲7万人と前月(▲49万人)から下げ幅を縮小、雇用者数が前年同月比+75万人と前月(+94万人)から上げ幅を縮小しています。 
 
 産業別にみると「医療・福祉」(+29万人→+43万人)が上げ幅を拡大したほか「製造業」(▲4万人→5万人)がプラスに転じました。一方、「建設業」(▲7万人→▲15万人)が下げ幅を拡大したほか「情報通信業」(0万人→▲9万人)、「卸売業、小売業」(+6万人→▲7万人)、「宿泊業、飲食サービス業」(0万人→▲4万人)が下げ幅を拡大しています。

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 まとめると失業率は低い水準になっているものの就業者数をみると医療、福祉が大きく増加している以外は前月より内容が良くなく見た目ほど改善しているようには見えません。
 また雇用形態別に雇用者(原数値)をみると正規雇用は春先から横ばいなのに対し非正規雇用は前年同時期と比較しても伸びており、景況悪化により正規雇用に慎重な動きになっているように見えます。

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【6月一般職業紹介状況】 
 厚生労働省が29日に6月の一般職業紹介状況の結果を発表。

 有効求人数は前月比0.4%増、前月は0.3%増。
 有効求職者数は前月比0.4%減、前月は0.9%減。
 有効求人倍率は前月比0.01ポイント上昇の1.37倍。

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 新規求人数は前月比2.3%減、前月は3.1%増。
 新規求職申込数は前月比1.5%増、前月は1.5%増。
 新規求人倍率は前月比0.08ポイント低下の2.01倍。

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 詳細は厚生労働省で確認できます。

 6月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇の1.37倍、先行指標である新規求人倍率は前月から0.08ポイント低下の2.01倍となりました。新規求人倍率のブレが大きくなっていますが有効求人倍率は上昇が続いており企業側の求人意欲は依然として強いように見えます。

 ただ有効求人数、有効求職者数の動きを前年同月比でみると有効求人数は昨年から伸びているのに対し有効求職者数は前年を下回る状況が続いています。求職者の減少により求人倍率が強い数字になりやすく数字ほどは逼迫していないかもしれません。

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 また昨年に比べて景況が悪いにもかかわらず求人数が伸びているのも気になります。求職者が減少していることを考えるとミスマッチにより求人数が減少しにくく伸びやすくなっていることが考えられます。

 実際、主要な職業の有効求人倍率をみると事務的や運搬・清掃・包装等が1倍を大きく下回る水準で推移しているのに対しサービス(介護や調理)をはじめ専門的・技術的(技術者)や販売(商品販売)の倍率は徐々に上昇しています。

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 人手不足な職業は重労働だったり専門的だったりと人が集まりにくく人手不足な状況が進行しているように見えます。解消するには賃金などの労働条件の引き上げが近道かと思うのですが内需の弱さを考えるとなかなか…。

 まとめると求人数は緩やかな増加、求職者は減少が続いており、結果として求人倍率は上昇しやすい状況が続いています。求人倍率だけ見れば求職者側有利に見えなくもないのですが、実際は職業別で二極化が進んでおり数字でみる以上に苦戦していそうです。


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31 7月

6月家計調査を振り返る

【6月家計調査】
 総務省統計局が29日に6月の家計調査(家計の収支状況)を発表。

 総世帯(二人以上の世帯)の消費支出は26万1452円、前年同月比実質2.2%減、名目2.7%減。
 消費支出(除く住居等)は23万2557円、前年同月比実質0.3%減、名目0.8%減。

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 勤労者世帯(二人以上の世帯)の実収入は73万1099円、前年同月比実質0.2%増、名目0.3%減。
 可処分所得は58万9676円、前年同月比実質1.9%増、名目1.4%増。
 消費支出は27万6602円、前年同月比実質5.1%減、名目5.6%減。 

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 詳細は総務省統計局で確認できます。

 6月の消費支出(以下、実質)は前年同月比2.2%減と4ヶ月連続でマイナスとなりました。前月(1.1%減)から下げ幅が拡大、市場予想(0.3%減)を下回っており消費支出が拡大しない状態が続いています。

 ただ支出のブレが大きい住居等(自動車等購入費や贈与金、仕送り金を含む)を除いた消費支出は前年同月比0.3%減と2ヶ月連続でマイナスとなったものの前月(0.9%減)から下げ幅は縮小しています。

 内訳をみると設備修繕・維持費を含む「住居」(▲22.2%)が3ヶ月連続でマイナスとなったほか授業料を含む「教育」(▲14.6%)が2ヶ月連続でマイナス、ガス代を含む「光熱・水道」(▲0.7%)や「交通・通信」(▲3.8%)が2ヶ月ぶりにマイナスとなりました。一方、「保健医療」(+5.6%)が2ヶ月ぶりにプラスとなっています。

 なお住居の大幅なマイナスは天候が良くなかったことや昨年、省エネ住宅エコポイント制度により出費が増加していた反動が出ている模様で勤労者世帯(▲29.0%)ではマイナス幅が大きくなっています。
 
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 季節調整値でみると消費支出は前月比1.1%減の92.0(2010年=100)と2ヶ月連続で減少となりました。一方、住居等を除いた消費支出は前月比0.4%増の94.8と2ヶ月ぶりに増加しています。指数の推移をみる限り何とか横ばいを維持しているように見えます。

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 次に消費支出を日数、物価、世帯人数による変動の影響を除いた消費水準指数をみると消費支出は前月比1.9%減の93.4と2ヶ月連続で減少、住居等を除いた消費支出は前月と同じ96.1となりました。こちらも何とか横ばいを維持していると判断できそうです。

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 最後に勤労者世帯の収入面をみると実収入は前年同月比0.2%増と2ヶ月ぶりにプラス、可処分所得は非消費支出がマイナスになったことから前年同月比1.9%増と2ヶ月ぶりにプラスとなりました。収入の内訳みると世帯主収入(+0.2%)は3ヶ月連続でプラス、配偶者の収入(▲0.3%)は6ヶ月ぶりにマイナスとなっています。

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 今後ですが消費の源泉である収入を考えると企業を取り巻く環境が厳しくなっていることから賃金や株式投資などでの収入増は期待しにくく、基礎的支出も抑制しやすくなっている家計の状況を考えると多少の収入増では基礎的支出の増加にとどまり、消費の明確な拡大にはつながりにくそうです。

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 一方で原油価格の上昇が止まっていることからエネルギー価格は当面低い水準にとどまりそうなこと、円高などにより食品や原材料の価格が抑えられていることから物価上昇率は鈍化、家計としては若干やりくりが楽になるかもしれません。


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30 7月

6月消費者物価指数を振り返る

【6月消費者物価指数】
 総務省統計局が29日に6月の消費者物価指数(家計に係る財・サービスの価格)を発表。

 6月の消費者物価指数・総合は前年同月比0.4%低下、前月は0.4%低下。
 生鮮食品を除く総合は前年同月比0.5%低下、前月は0.4%低下。
 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合は前年同月比0.4%上昇、前月は0.6%上昇。

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 詳細は総務省統計局で確認できます。

 6月の消費者物価指数(総合CPI)は前年同月比0.4%低下と前月と一致したのに対し生鮮食品を除く総合(コアCPI)は前年同月比0.5%低下と前月(0.4%低下)から下げ幅を拡大しました。
 また食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)も前年同月比0.4%上昇と前月(0.6%上昇)から上げ幅を縮小しています。

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 内訳をみると食料(+1.1%)は前月(+0.9%)から上げ幅を拡大しました。生鮮食品(▲1.2%→+0.3%)がプラスに転じたためで生鮮食品を除く食料(+1.3%→+1.3%)は前月と一致しています。
 細かくみると果物(+4.1%→▲0.9%)がマイナスに転じたのに対し野菜・海藻(▲3.5%)はプラスに転じました。生鮮食品によるブレがあるものの全体では円安による生産コストの上乗せが収まり鈍化傾向となっています。

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 エネルギー(▲11.8%)は前月(▲12.6%)から下げ幅を縮小しました。ガソリン(▲16.1%→▲13.9%)や灯油(▲26.9%→▲25.6%)が下げ幅を縮小したほかガス代(▲10.5%→▲10.0%)も下げ幅を縮小しています。
 原油価格上昇に伴いガソリン価格が上昇、電気代などのサービス価格も下げ幅の縮小の動きが小さくなったことから全体では下げ幅を縮小しています。

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 財のうち半耐久消費財(+1.5%)は前月(+1.8%)から上げ幅を縮小しました。シャツ・セーター・下着類(+2.0%→+1.5%)が上げ幅を縮小したほか教養娯楽用品(▲0.1%→▲0.5%)が下げ幅を拡大しています。

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 一方、耐久消費財(▲0.6%)は13ヶ月ぶりにマイナスに転じました。テレビを含む教養娯楽用耐久財(+5.3%→▲2.8%)がマイナスに転じたほか家庭用耐久財(▲1.4%→▲2.6%)も下げ幅を拡大しています。
 
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 サービスのうち公共サービス(+0.7%)は前月と一致、一般サービス(+0.4%)も前月(+0.5%)から上げ幅を縮小しました。一般サービスの内訳をみると外食(+1.3%→+0.9%)や通信・教養娯楽(+1.4%→+1.3%)が上げ幅を縮小しています。

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 まとめると原油価格上昇に伴いエネルギー価格が持ち直したものの需要の弱さに加え円高などにより輸入食品、原材料の価格が下落したことにより耐久消費財を中心に価格の伸びが鈍化したことから生鮮食品を除く総合指数は下げ幅を拡大、食料・エネルギーを除く総合指数も上げ幅を縮小しました。

 今後ですが原油価格が在庫量増加で上昇が止まっておりエネルギー価格の上向く動きがさらに鈍りそうなこと、円高により食品や原材料価格は低下しやすく需要の弱さも考えると生鮮食品を除く総合指数はしばらく前年同月比でマイナス、食料・エネルギーを除く総合指数は0%近傍まで鈍化が続きそうです。


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30 7月

イギリス第2四半期国内総生産速報値を振り返る

【イギリス第2四半期国内総生産速報値】
 英国立統計局が27日に第2四半期の国内総生産(国内で産出された付加価値額)速報値を発表。

 第2四半期の国内総生産速報値は前期比0.6%増。前期は0.5%増。

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 詳細は英国立統計局で確認できます。

 第2四半期の国内総生産速報値は前期比0.6%増と前期(0.4%増)から伸びが拡大しました。製造業の生産が4月に伸びたこともあり市場予想(0.4%増)を上回っています。

 供給側をみると建設業(▲0.4%)が2四半期連続で減少したのに対し鉱工業(+2.1%)が3四半期ぶりに増加したほかサービス業(+0.5%)も前期から増加幅を縮小したものの増加基調を維持しました。

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 鉱工業を細かくみると鉱業・採掘業(+1.4%)が3四半期ぶりに増加、製造業(▲0.4%)が2四半期ぶりに増加しました。鉱工業生産をみると4月に医薬品や輸送機器の生産が急拡大したことが影響しているようです。

 一方、サービス業では運輸・倉庫・情報通信業(+0.3%)が2四半期ぶりに増加したのに対し商業、宿泊・飲食業(+1.1%)や事業支援、金融業(+0.5%)が前期から増加幅を縮小しています。

 まとめると国内総生産は鉱工業の生産急増やサービス業の堅調な伸びを背景に14四半期連続でプラス成長となりました。

 今後ですがEU離脱決定により先行き不透明感が増していることから7-9月期以降は製造業、サービス業ともに生産や投資には慎重になることが予想されますので成長率は鈍化、もしくはマイナス成長になるかもしれません。


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30 7月

オーストラリア第2四半期消費者物価指数を振り返る

【オーストラリア第2四半期消費者物価指数】
 オーストラリア統計局は27日に第2四半期の消費者物価指数(家計に係る財・サービスの価格)を発表。

 第2四半期の消費者物価指数・総合は前年同期比1.0%上昇、前期は1.3%上昇。

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 詳細はオーストラリア統計局で確認できます。

 第2四半期の消費者物価指数は前年同期比1.0%上昇と前期(1.3%上昇)から上げ幅を縮小しました。所得の伸び悩みや貿易財の鈍化などにより市場予想(前年同期比1.1%上昇)を下回る結果となっています。

 中央銀行が重視しているトリム(刈り込み)平均は前年同期比1.7%上昇と前期と一致しました。同じく加重平均も前年同期比1.3%上昇と前期と一致しています。前期から鈍化こそしなかったものの中央銀行が目標とするレンジ(2-3%台)を下回る状況となっています。

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 品目別にみると旅行・宿泊料金を含む教養娯楽(+0.1%→+0.8%)が上げ幅を拡大したのに対し自動車燃料を含む交通(▲0.5%→▲2.8%)や情報通信(▲6.4%→▲7.2%)が下げ幅を拡大しています。
 なお自動車燃料や情報通信は前期比では上昇、しかし前年同期と比べると上げ幅が小さかく前年同期比では下げ幅拡大となっています。

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 まとめると財は前期比では伸びたものの前年同期比では前年の裏から前期から鈍化、サービスは前期比の上げ幅は小さく前年同期比では前期と一致したものの鈍化傾向が止まったようには見えません。

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 今後ですがエネルギー価格が持ち直していくもの賃金伸び率の鈍化などを考えると物価上昇率は今の水準にとどまりそうです。

 中央銀行は物価上昇率が目標レンジ(2-3%上昇)の下方にあることから景気刺激のため次回政策会合時に政策金利の引き下げを可能性があります。ただ物価上昇率以外の他の指標が明確な景況悪化を示しているわけでもなく様子見の姿勢を維持することも考えられます。


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