satoki_segawa

こぼれおちるもの

個人的な経済指標観測と実践している投資状況のメモです。

2012年12月

31 12月

11月失業率・有効求人倍率を振り返る

11月の完全失業率は4.1%に改善、有効求人倍率は0.80倍で変わらず
 総務省が28日に発表した労働力調査によると、11月の完全失業率(季節調整値)は4.1%となり、10月(4.2%)から改善した。一方、厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率(季節調整値)は0.80倍で10月と同水準だった。(以上ロイター記事より引用)

 詳細は総務省統計局で確認できます。

 11月の就業者数(15歳以上)は前年比6万人減の6297万人と2カ月ぶりの減少。男性は16万人減の3617万人、女性は10万人増の2680万人。産業別では卸売業・小売業が同20万人減の1035万人、製造業が同15万人の1030万人、運輸業・郵便業が同14万人減の343万人。一方で建設業が同14万人増の512万人、教育・福祉が12万人増の703万人。

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 就業率(15歳以上)は前年同月と同じ57.0%。男性は前月から0.3%ポイント上昇の80.6%、女性は0.7%ポイント上昇の61.5%。 完全失業率(季節調整値)は前月から0.1%低下の4.1%、男性は前月と同じ4.3%、女性は0.1%ポイント低下の3.9%。

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 雇用者数は前年比16万人増の5559万人。男性が同2万人減の3168万人、女性が同19万人増の2392万人。常雇が同37万人増の4749万人、臨時雇が同18万人減の653万人、日雇が同5万人減の101万人。

 従業者規模では30人未満が前年比20万人減の1566万人と12ヶ月連続の減少。500人未満で同34万人減の1852万人、500人以上では同54万人増の1550万人と9ヶ月連続の増加。

 完全失業者数は前年比21万人減の260万人と30ヶ月連続減。求職理由別に見ると「勤め先都合」が同9万人減の64万人、「自己都合」は同2万人増の98万人。

 非労働力人口は前年比9万人増の4527万人と2ヶ月ぶりの増加。

 今月の失業率低下は労働力人口が就業者を上回る減少で失業者数が減少したことによるもので、あまり前向きな失業率低下とは言えません。産業別でみても建設業が増加しているのは良いのですが製造業、卸売業・小売業が引き続き減少を続けています。

 ただ同日に発表された鉱工業生産では12月、1月と強めの生産計画が発表されており、製造業では生産の上昇に伴い雇用が増加することが予想されます。雇用状況は景気後退に伴い直近では悪化する懸念があるもの労働者の退出はひとまず止まるのではと思います。

 また同日に厚生労働省で有効求人倍率を含む一般職業紹介状況も発表されました。詳細は厚生労働省で確認できます。

 11月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と変わらず0.80倍。有効求人数(季節調整値)は前月から0.5%増の194.7万人となり、有効求職者(季節調整値)は同0.6%増の243.1万人。

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 新規求人倍率は前月から0.02ポイント上昇の1.31倍。新規求人数(季節調整値)は前月から0.1%増の73.1万人となり、新規求職申込数(季節調整値)は同1.1%減の54.8万人。

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 有効求人倍率が横ばいになるなか、有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率が9月を底に2カ月連続で上昇しました。雇用は改善しているとはいえませんが、新規求人倍率が上昇をし続けたことから有効求人倍率も上昇に転じる可能性が高くなり、ひとまず雇用の悪化は終わりそうな雰囲気です。
 

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30 12月

11月消費者物価指数を振り返る

11月消費者物価指数は再びマイナス、ガソリン・電気代の上げ幅縮小で
 総務省が28日発表した2012年11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI、2010年=100.0)は前年比0.1%低下の99.5となった。10月は同0.0%だったが、ガソリンや電気代の上昇幅縮小やNHK受信料の値下げが響き、2カ月ぶりにマイナスに転じた。(以上ロイター記事より引用)

 詳細は総務省で確認できます。

 11月の全国消費者物価指数は総合指数(総合CPI)が前月比0.4%低下の99.2、前年比0.2%低下。生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は前月比0.3%低下の99.5、前年比0.1%低下。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は前月比0.3%低下の98.2、前年比0.5%低下。

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  食料は前年比0.5%低下と前月の1.6%低下から下げ幅を縮小。内訳をみると生鮮食品は同2.1%低下と前月の8.9%低下から下げ幅を縮小。一方で生鮮食品を除いた食料は同0.3%低下と前月から変わらず。

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 エネルギーは前年比3.5%上昇と前月の4.6%上昇から鈍化。内訳をみると電気代が同4.8%上昇と前月の5.8%上昇から、ガス代が同2.6%上昇と前月の2.9%上昇から、灯油が同3.4%上昇と前月の4.9%上昇から、ガソリンが同2.6%上昇と前月の同4.2%上昇からそれぞれ鈍化。

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 耐久消費財をみると前年比3.6%低下と前月の3.0%低下から下げ幅を拡大。内訳をみると家庭用耐久財は前年比6.8%低下と前月の6.1%低下から下げ幅を拡大。一方で教養娯楽用耐久財は同4.3%低下と前月の6.6%低下から下げ幅を縮小。品目でみるとテレビが同1.6%上昇と前月の1.8%低下から加速。

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 財・サービス分類をみると財は前年比0.3%低下と前月の0.6%低下から下げ幅を縮小。内訳をみると農水畜産物が同0.5%低下と前月4.8%低下から下げ幅を縮小。工業製品が同0.8%低下と前月の0.5%低下から下げ幅を拡大。

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 サービスは前年比0.0%低下と前月の0.2%低下から下げ幅を縮小。公共サービスは同0.5%上昇と前月の0.4%上昇から加速。一般(民間)サービスは同0.2%低下と前月の0.4%低下から下げ幅を縮小。

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 総合CPIが上昇したものの、コアCPIが前月から低下し、コアCPIは再び前年比でマイナス圏に低下するなどデフレ状況が続いています。今月総合CPIが上昇したのは生鮮食品の価格上昇、コアCPIが低下したのはエネルギー価格の下落です。ただいずれにしてもコアコアCPIが未だマイナス圏を脱せないことから需要不足による物価への下押し圧力も続いていると思います。

 今後ですが上昇する要因、低下する要因が混在しておりどのような動きになるか読みづらいです。上昇要因としては円安による輸入品価格の上昇、電力価格の上昇があり、低下要因としては需給悪化による価格低下、1年前の耐久財品目変更による価格低下があります。

 上記から物価の下押し圧力を円安などの上押し圧力がある程度相殺するものの、需給悪化に夜下押し圧威力が勝りコアCPIはマイナス圏を脱することが出来ずデフレが続く可能性が高いと思います。ただ政府や日銀が物価に働きかけるような政策を行えばその限りではありません。

 物価低下は賃金低下、可処分所得低下に繋がり消費者の購買力低下を引き起こしています。消費者の購買力低下は企業の国内における期待収益率低下になり国内経済は規模の縮小を余儀なくされてしまいます。このような流れを断ち切れる財政・金融政策を期待します。


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29 12月

11月鉱工業生産を振り返る

11月鉱工業生産、計画下ブレながらも自動車や電子部品中心に改善方向
 経済産業省が日発表した11月鉱工業生産指数速報(2005年=100、季節調整済み)は当初計画の下振れを伴いながらも、徐々に改善方向に向かって姿が示された。11月は中国向けの需要低迷の影響で大震災直後以来の低水準となったが、12月、1月と上昇予測となり、特に自動車や情報通信機械、電子部品・デバイスなど主力産業は改善傾向を示している。市場では楽観は禁物ながらも底打ちを確認できる内容と見ている。(以上ロイター記事より引用)

 詳細は経済産業省で確認できます。

 11月の鉱工業生産指数は前月比1.7%減の86.4、前月は1.6%増と2ヶ月ぶりの減少。出荷指数は前月比1.1%減少の86.5、前月は0.1%減少と3ヶ月連続の減少。在庫指数は前月比1.2%減少の106.4、前月は0.1%減少と4カ月連続の減少。在庫率は前月比0.3%低下の127.2、前月は2.1%低下と2カ月連続の低下。

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 生産で低下した業種は一般機械工業(前月比5.3%減)、金属製品工業(同5.1%減)、情報機械工業(同8.2%減)など11業種。上昇した業種は電子部品・デバイス工業(同1.3%増)など5業種。

 出荷で低下した業種は一般機械工業(前月比3.6%減)、情報機械工業(同10.4%減)、金属製品工業(同4.6%減)など10業種。上昇した業種は電子部品・デバイス工業(同5.8%増)、輸送機械工業(同1.2%増)など5業種。

 在庫の低下は石油・石炭製品工業(前月比9.7%減)、情報通信機械工業(同7.8%減)、鉄鋼業(同2.7%減)など8業種。上昇した業種は電子部品・デバイス工業(同5.5%増)、輸送機械工業(同2.3%増)、電気機械工業(同1.2%増)など8業種。

 生産予測では12月が前月比6.7%上昇、1月は同2.4%上昇。12月の生産上昇は、電子部品・デバイス工業(前月比16.9%増)、輸送機械工業(同7.8%増)、一般機械工業(同5.3%増)のため。1月の生産上昇は輸送機械工業(同8.9%増)、情報通信機械工業(同10.9%増)のため。


 生産を業種別にみると電子部品デバイス工業が増産を維持する一方、情報通信機械やウェイトが高い一般機械も減産、前月増加に転じた輸送機械も再び減産し全体の指数は予想(0.1%減)を下回る低下(1.7%減)になりました。

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 一方、生産予測調査をみると12月の予測は下方修正されたものの引き続き6.7%増と強め、1月の予測も2.4%増と強めの予測になっています。業種でみると電子部品・デバイスが12月も増産、輸送機械工業が12月、1月と増産に転じる模様ですが、実現されるかは世界経済情勢をみると微妙な所。

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 予測がどの程度実現するかは円安による競争力回復による輸出増加が勝るか、世界経済の悪化や日中関係悪化による需要抑制が勝るかの割合になるかと思いますが…。何れにしても12月の鉱工業生産は来年前半の生産状況を占う材料になりそうです。

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29 12月

アメリカ12月CB消費者信頼感指数を振り返る

12月米CB消費者信頼感指数は4カ月ぶり低水準、「財政の崖」が冷や水に
 米大手民間調査機関のコンファレンス・ボード(CB)が27日発表した12月の消費者信頼感指数は4ヶ月ぶりの低水準となる65.1に低下した。米「財政の崖」問題でこれまで膨らんでいた楽観的な見方が冷え込んでいるとみられる。(以上ロイター記事より引用)

 詳細はコンファレンス・ボードで確認できます。

 12月の信頼感指数は65.1と前月の71.5(速報値73.7)を下回りました。期待指数も66.5と前月の80.9(速報値85.1)を大きく下回りました。一方で現況指数は62.8と前月の57.4(速報値56.6)と上回りました。

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 現況調査は景気が良いと感じている人が17.1%と前月の14.6%から増加、悪いと感じている人が27.3%と前月の31.2%から減少。雇用について不十分と感じている人が54.1%と前月の51.6%から増加、十分と感じている人が10.3%と前月の11.0%から減少。

 一方、期待(6か月先)調査では景気が改善すると感じている人が17.6%と前月の21.3%から減少、悪化すると感じている人が21.5%と前月の15.8%から増加。雇用が改善すると感じている人が17.0%と前月の19.5%から減少、悪化すると感じている人が27.3%と前月の21.2%から増加。収入が増加すると感じている人が15.4%と前月の15.5%からほぼ変わらず、減少すると感じている人が18.7%と前月の15.6%と増加。


 選挙というイベントによる上積みが無くなり、財政の崖問題が間近に迫ったことで、現状は良くても先行きに不安を感じている様子が伺えます。現在、財政の崖問題は議会で議論が紛糾しており進展が見られず、消費活動、投資活動に下押し圧力が掛かっています。

 期待指数の悪化以上に期待調査が気になるところで業況、雇用面で近い将来悪化すると感じている人が明確に増えてきています。前月に書いたように雇用に不安を感じる、収入の増加を期待できない人が増えてきているのならば今後消費がさらに下押しされる可能性を考慮しなければいけなくなります。

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29 12月

アメリカ11月新築住宅販売戸数を振り返る

11月の米新築住宅販売は2年半ぶり高水準、販売価格も大幅上昇
 米商務省が27日発表した11月の新築1戸建て住宅販売(季節調整済)は前月比4.4%増の年率37万7000戸と、2010年4月以来2年半ぶりの高水準となった。販売価格の中央値も前年同月から大きく上昇し、米住宅市場
の回復が幾分勢いを増していることを示唆した。(以上ロイター記事より引用)

 詳細は米商務省で確認できます。

 11月の新築1戸建て住宅販売(季節調整済)は前月比4.4%増の年率37万7000戸、前年比15.3%増。前月は36万8000戸から36万1000戸に下方修正。 在庫は前月比1.4%増の14万9000戸。在庫水準は前月から0.2ヶ月減の4.7ヶ月。

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 住宅価格は中央値で前月比3.7%上昇の24万6200ドル、前年比14.9%上昇。平均値は29万9700ドル。

2012122902

 住宅市場は2010年4月以来の水準になるなど昨年2月の27万3000戸を底に回復を続けています。ただピークからは依然3割ほどの低い水準にとどまっており依然として回復途上の状態。一方、在庫戸数は今年に入ってから14万戸台が続いており底ばいの状態になっています。

 販売価格は昨年より上昇基調が続いており、景気後退前の水準近くまでも戻してきているように思います。現状、販売戸数と価格が共に上昇していることから需要がある程度は高まっていると思ってよさそうです。

 今後も住宅販売市場は需給が良好な反面、財政の崖というネガティブな問題もあり、不透明感が強いです。メインシナリオはゆるやかな回復が続くだと思うのですが、財政の崖などで個人の所得に影響が出てくるようだと先折れする可能性もあります。

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