satoki_segawa

こぼれおちるもの

個人的な経済指標観測と実践している投資状況のメモです。

16 10月

イギリス9月雇用統計を振り返る

イギリス9月雇用統計
 英国立統計局が12日に9月の雇用統計(就業者数や失業者数など雇用関連の状況)を発表。

 6-8月の国際労働機関(ILO)基準の就業者数(16歳以上)は前期(3-5月)から+23万5000人。
 失業者数は前期から▲12万6000人。
 失業率は前期から▲0.3ptの4.5%。

2021101201

 詳細は英国立統計局で確認できます。

 6-8月の失業率は前期(3-5月)から▲0.3ptの4.5%となりました。就業者が増加、失業者は減少が続いており市場予想と一致しています。

 細かくみると就業者数は前期から+23万5000人と9か月連続で前期を上回り、失業者数は前期から▲12万6000人と7か月連続で前期を下回りました。就業者数の増加により就業率は前期から+0.5ptの75.3%となっています。

2021101202

 若年層(16-24歳)をみると就業者数は前期から+12万3000人と5か月連続で前期を上回り、失業者数は前期から▲4万人と9か月連続で前期を下回りました。就業者数が増加したため失業率は前期から▲1.3ptの12.2%となっています。

2021101203

 雇用者、自営業者別をみると雇用者数は前期から+21万8000人と7か月連続で前期を上回り、自営業者数は▲1万人と2か月ぶりに前期を下回りました。自営業者比率は前期から▲0.1ptの13.2%となっています。

2021101204

 一方、フルタイム・パートタイム別をみるとフルタイム就業者数が前期から▲2万2000人と7か月ぶりに前期を下回り、パートタイム就業者数は前期から+25万8000人と3か月連続で前期を上回りました。パートタイム就業者数が増加に転じておりパートタイム比率は前期から+0.6ptの24.6%となっています。

2021091405

 労働時間をみると就業者全体では前期から+1.0時間の31.5時間。内訳ではフルタイム就業者は前期から+1.1時間の36.1時間と4か月連続で前期を上回り、パートタイム就業者は前期から+1.3時間の16.2時間と4か月連続で前期を上回っています。

 賃金動向をみると賞与を含む総賃金は前年同期比+7.2%と13か月連続で前期を上回りました。業種別にみると「金融業・保険業、不動産業、事業支援業」(+11.1%)、「建設業」(+9.7%)、「卸売業・小売業、飲食・宿泊業」(+7.6%)が前期を上回っています。
 一方、消費支出に関連しやすい賞与を除く定期賃金も前年同期比+6.0%と14か月連続で前期を上回りました。業種別にみると「金融業・保険業、不動産業、事業支援業」(+9.3%)、「建設業」(+8.3%)、「卸売業・小売業、飲食・宿泊業」(+5.7%)が前期を上回っています。

2021101206

 今後ですが経済活動の拡大に伴い、労働需要は強まる状況が続いているため就業者数は増加が続きそうです。ただフルタイム就業者よりもパートタイム就業者の伸びが強い点をみると企業は雇用に対して慎重な姿勢が続いているとも考えられ、失業率は引き続き小幅の改善となりそうです。
 一方、賃金伸率はピークアウトしつつあり、就業者が増加するなかでどの程度の水準で伸びを維持できるかがポイントに。足元では物価上昇率が上げ幅を拡大しており、低所得者を中心に消費支出が持続的に増加し続けるかどうかも気になるところです。

人気ブログランキングに参加しています。
参考になったと思われた方はクリックしていただけると幸いです。
人気ブログランキング
16 10月

今週の経済指標(10月10日-16日)

【主な経済指標:注目度5段階】
■10日(日)
なし

■11日(月)
トルコ:失業率
イタリア:鉱工業生産

■12日(火)
日本:貸出・預金動向
日本:企業物価指数
オーストラリア:企業景況感指数
韓国:政策金利
マレーシア:鉱工業生産
ドイツ:卸売物価指数
イギリス:雇用統計
オーストラリア:HIA住宅販売
トルコ:鉱工業生産
ドイツ:ZEW企業景況感指数
メキシコ:鉱工業生産
インド:鉱工業生産
インド:消費者物価指数

■13日(水)
韓国:雇用統計
日本:マネーストック
日本:機械受注統計
オーストラリア:Westpac消費者信頼感指数
中国:貿易統計
ドイツ:消費者物価指数-改訂
イギリス:貿易収支
イギリス:鉱工業生産
アメリカ:消費者物価指数

■14日(木)
シンガポール:国内総生産
オーストラリア:雇用統計
中国:消費者物価指数
中国:生産者物価指数
日本:鉱工業指数-改訂
インド:卸売物価指数
スペイン:消費者物価指数-改訂
スウェーデン:消費者物価指数
インド:貿易収支-改訂
ポーランド:経常収支
アメリカ:生産者物価指数
ブラジル:企業景況感指数

■15日(金)
インドネシア:貿易収支
日本:商業動態統計-改訂
日本:第3次産業活動指数
フランス:消費者物価指数-改訂
イタリア:消費者物価指数-改訂
ポーランド:消費者物価指数-改訂
イタリア:貿易収支
アメリカ:小売売上高
アメリカ:輸入・輸出物価指数
アメリカ:ニューヨーク連銀製造業指数
アメリカ:ミシガン大学消費者信頼感指数-速報
アメリカ:企業在庫

■16日(土)
なし
15 10月

アメリカ9月雇用統計を振り返る

【アメリカ9月雇用統計】
 米労働省が8日に9月の雇用統計(就業者数や失業者数など雇用関連の状況)を発表。

■家計調査(季節調整値)
 労働力人口は前月から▲18万3000人。
 就業者数は前月から+52万6000人。
 失業者数は前月から▲71万人。
 非労働力人口は前月から+33万8000人。
 失業率は前月から▲0.4ptの4.8%。

2021090301

■事業者調査(季節調整値)
 非農業部門雇用者数は前月から+19万4000人。
 財生産部門雇用者数は前月から+5万2000人。
 サービス部門雇用者数は前月から+26万5000人。
 政府部門雇用者数は前月から▲12万3000人。

2021100805

 詳細は米労働省で確認できます。

 9月の失業率は前月から▲0.4ptの5.2%となりました。就業者数は大幅増、失業者数も大幅減となり市場予想(5.1%)よりも改善しています。
 一方、非農業部門雇用者数は前月から+19万4000人と前月(+36万6000人)から上げ幅を縮小、市場予想(+50万人)を下回っています。

 家計調査をみると就業者数は前月から+52万6000人と3か月連続で増加、失業者数は前月から▲71万人と3か月連続で減少となり労働力人口は前月から▲18万3000人と4か月ぶりに減少しました。
 一方、非労働力人口は前月から+33万8000人と4か月ぶりに増加しています。

 労働力人口が減少したため労働参加率は前月から▲0.11ptの61.64%と4か月ぶりに低下、依然として2019年の平均(63.1%)を1%以上、下回っています。

2021100802

 労働者の質的な動きをみるためパートタイム労働者を理由別にみると経済的な理由は前月から▲1000人と4か月連続で減少、非経済的理由は前月から+3万人と2か月連続で増加しました。
 更に経済的な理由の内訳をみると事業環境悪化が前月から▲3000人と2か月ぶりに減少、パートタイム職しか見つからないは前月から▲5万7000人と2か月連続で減少しています。

2021100803

 次に失業者の動きを見るため失業期間をみると27週以上の長期失業者数は前月から▲49万6000人とは3か月連続で減少しました。長期失業者の割合は前月から▲2.9ptの34.5%となっています。
 一方、失業期間の中央値は13.3週と前月(14.7週)から低下しています。

2021100804

 事業者調査をみると非農業部門雇用者数は前月から+19万4000人と前月(+36万6000人)から伸びが縮小しました。
 部門別にみると財生産部門は前月から+5万2000人と5か月連続で増加しました。内訳をみると「建設業」が+2万2000人と2か月ぶりに増加、「製造業」が前月から+2万6000人と5か月連続で増加しています。
 製造業を細かくみると「輸送機器」が前月から▲5100人と5か月ぶりに減少したのに対し「金属製品」が前月から+8200と5か月連続で増加しています。

2021100806

 サービス部門は前月から+26万5000人と前月(+29万5000人)から伸びが縮小しました。
 内訳をみると「小売業」が前月から+5万6100人、「運輸業・倉庫業」が前月から+4万7300人、「娯楽業」が前月から+4万3000人、「飲食業」が前月から+2万9000人と増加したのに対し「教育」が前月から▲1万8900人と5か月ぶりに減少、「介護・住宅介護」が前月から▲3万7600人と12か月連続で減少しています。

2021100807

 一方、政府部門は前月から▲12万3000人と6か月ぶりに減少しました。「教育」が前月から▲14万4200人と6か月ぶりに減少しています

 週平均労働時間は労働者全体で前月から+0.2時間の34.8時間となりました。部門別にみると財生産部門は前月から+0.4時間の40.4時間、サービス部門は前月から横ばいの33.6時間となっています。

2021100808

 時間当たり賃金は労働者全体で前月から+0.19ドルの30.85ドル、賃金伸率は前年同月比+4.6%と前月(+4.0%)から上げ幅を拡大しました。
 産業部門別にみると財生産部門は前年同月比+4.1%の31.18ドルと前月(+3.4%)から上げ幅を拡大、サービス部門は前年同月比+4.7%の30.72ドルと前月(+4.2%)から上げ幅を拡大しています。

2021100809

 今後ですが家計調査では失業率が低下したものの職探しを断念する動きなどで失業者の減少によるところが大きく見た目ほど結果は良くないのですが就業者の増加も続いており、労働需要は強いこともうかがわれ悲観一色というわけでもなく判断が難しいところですが、時間経過とともに後者が勝りそうに見えます。
 一方、事業者調査では小売業や運輸業、娯楽業などの雇用者が大幅増だったのに対し介護関連は減少が続いており、今後の経済活動に何らかの影響が出そうな動きとなっているのが気にかかるところ。ただ教育関連の動きがノイズとなっているため見た目ほど弱い内容ではない気がするのですが。
 後記になるのは賃金の動き、前年同月比では上げ幅を拡大しているものの物価上昇率も上げ幅を拡大しており労働者は賃金の伸びが示すほど家計に余裕が出てきてはいないと考えられ消費にどのような影響が出るかどうか。ただこれも過去の給付金によるゆがみが…。

人気ブログランキングに参加しています。 
参考になったと思われた方はクリックしていただけると幸いです。
人気ブログランキング 
記事検索