satoki_segawa

こぼれおちるもの

個人的な経済指標観測と実践している投資状況のメモです。

4 8月

6月労働力調査、一般職業紹介状況を振り返る

【6月労働力調査】 
 総務省労働局が31日に6月の労働力調査の結果を発表。

■原数値
 就業者数は前年同月比36万人増、前月は2万人増。
 雇用者数は前年同月比48万人増、前月は32万人増。
 完全失業者数は前年同月比21万人減、前月は18万人減。
 非労働力人口は前年同月比15万人減、前月は8万人増。

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■主要産業別就業者
 建設業は前年同月比9万人増、前月は6万人減。
 製造業は前年同月比17万人減、前月は3万人減。
 卸売・小売業は前年同月比7万人減、前月は14万人減。
 宿泊・飲食サービス業は前年同月比横ばい、前月は3万人減。
 医療・福祉が前年同月比50万人増、前月は35万人増。

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■求職理由別失業者
 非自発的な離職(勤務先都合など)が前年同月比8万人減、前月は6万人減。
 自発的な離職は前年同月比10万人減、前月は2万人減。
 新たに求職は前年同月比3万人減、前月は11万人減。

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■季節調整値
 就業者数は前月比34万人増。
 雇用者数は前月比24万人増。
 完全失業者数は前月比4万人増。
 非労働力人口は前月比35万人減。
 失業率は前月から0.1%ポイント上昇の3.4%。
 性別でみると男性は前月から横ばいの3.6%。
 女性は前月から0.1%ポイント上昇の3.1%。

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 詳細は総務省統計局で確認できます。

 6月の失業率(季節調整値)は前月から0.1%ポイント上昇の3.4%と市場予想(3.3%)より悪化しました。失業者数が前月から4万人増となったためですが、就業者数が前月から34万人増、非労働力人口は前月から35万人減と労働市場への参加者が増えたことが失業者増加の要因となっており見た目より良い結果だと判断できます。

 原数値でも就業者数は前年同月から36万人増と前月から伸びました。年齢別にみると15-64歳が前年同月から22万減と9ヶ月連続でマイナスとなる一方、65歳以上が前年同月から58万人増となっていることが影響しています。 
 
 就業者数を産業別にみると医療・福祉(5月+35万人→5月+50万人)が17ヶ月連続でプラス、他に分類されないサービス業(5月+18万人→6月+11万人)が6ヶ月連続でプラス、情報通信業(5月+11万人→6月+12万人)が3ヶ月連続でプラスとなりました。

 一方、卸売・小売業(5月▲14万人→6月▲17万人)や運輸・郵便業(5月▲17万人→6月▲15万人)が3ヶ月連続でマイナス、製造業(5月▲3万人→6月▲17万人)が下げ幅を大きく拡大しました。

 まとめると就業者は前月比で大きく増加、失業者は緩やかな減少を続けています。ただ内容をみると就業者の増加は医療・福祉の割合が多く、一方で製造業が減少するなど偏りがみられます。

 製造業の減少は生産活動の縮小が影響している模様で、海外の景況が回復すれば輸出増により生産活動回復により持ち直すと考えられますが時間はかかりそうです。


【6月一般職業紹介状況】 
 厚生労働省が31日に6月の一般職業紹介状況の結果を発表。

■有効求人(季節調整値)
 有効求人数が前月比0.7%減、前月は0.7%増。
 有効求職者数が前月比0.6%減、前月は1.3%減。
 有効求人倍率は前月から横ばいの1.19倍。

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■新規求人(季節調整値)
 新規求人数は前月比0.4%減、前月は2.1%増。
 新規求職申込数は前月比0.6%減、前月は1.9%増。
 新規求人倍率は前月から横ばいの1.78倍。

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 詳細は厚生労働省で確認できます。

 6月の有効求人倍率は前月から横ばいの1.19倍と市場予想(1.20倍)を下回りました。内容をみると求人数が3ヶ月ぶりに減少、求職者数は4ヶ月連続で減少しています。
 先行指標である新規求人倍率も前月から横ばいの1.78倍となり求人数、求職申込件数ともに3ヶ月ぶりに減少しています。

 新規求人倍率、有効求人倍率ともに水準を維持しているものの求人数は減少していることから企業の労働意欲は低下しているように見えます。新規求人数を原数値でみると前年同月比で2ヶ月ぶりにプラスとなりましたが、有効求人数の伸びはほぼ横ばいとなっており全体の求人の伸びは鈍化が続いています。

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 新規求人数を産業別でみると前年同月比でプラスが続く医療・福祉(前年同月比+9.8%)のほか卸売業・小売業(+10.6%)、宿泊業・飲食サービス業(+14.1%)などが大きく伸びています。一方、製造業(+6.0%)の伸びは2ヶ月連続でマイナスだったことを考えると物足りない伸びとなっています。

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 職業別にみると前年同月比でプラスが続くサービス(+11.3%)以外にも専門的・技術的(+6.5%)、販売(+8.4%)、事務的(+8.4%)などがプラスとなりました。

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 まとめると医療関連を中心に非製造業の雇用不足感は続いており求人は底堅く推移している模様です。ただ先行きについては製造業の求人は鈍りやすく、長期化するようであれば非製造業にも影響が出てくる可能性があります。製造業の求人が早目に持ち直せるかどうかが気になります。


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3 8月

6月家計支出を振り返る

【6月家計支出】
 総務省統計局が31日に6月の家計調査を発表。

■総世帯(二人以上の世帯)
 1世帯あたりの消費支出は26万6852円、前年同月比で実質2.0%減、名目1.5%減。
 消費支出(除く住居等)は23万4377円、前年同月比で実質1.4%減、名目0.9%減。

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■消費支出(実質)
 食料は前年同月比0.9%減、前月は0.7%増。
 住居は前年同月比4.1%減、前月は23.6%増。
 光熱・水道は前年同月比1.9%増、前月は4.5%増。
 家具・家事用品は前年同月比1.7%減、前月は19.3%増。
 被服及び履物は前年同月比13.3%減、前月は1.1%増。
 保健医療は前年同月比1.1%増、前月は3.1%増。
 交通・通信は前年同月比1.1%減、前月は14.8%増。
 教育は前年同月比9.4%増、前月は5.2%増。
 教養娯楽は前年同月比1.9%減、前月は1.9%減。 

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■勤労者世帯(二人以上の世帯)
 実収入は73万3589円、前年同月比で実質2.8%増、名目3.3%増。
 可処分所得は58万1279円、前年同月比で実質1.7%増、名目2.2%増。
 消費支出は29万3042円、前年同月比で実質1.4%減、名目0.9%減。 

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■収入の内訳(勤労者世帯)
 世帯主収入は56万6735円、前年同月比で実質0.4%増、名目0.9%増。
 配偶者収入は8万8166円、前年同月比で実質12.3%増、名目12.9%増。

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 詳細は総務省統計局で確認できます。

 6月の消費支出(以下、実質)は前年同月比2.0%減と市場予想(1.8%増)を下回りました。西日本を中心に天候不順があったものの前年同月が消費税増税の駆け込み需要の反動により前年同月比3.0%減となっていたことを考えると消費は弱いと判断できます。

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 費目をみると教育(前年同月比+9.4%)や光熱・水道(+1.1%)など3項目がプラスとなったものの被服及び履物(▲13.3%)、交通・通信(▲1.1%)など6項目がマイナスとなりました。

 季節調整値でみると消費支出は前月比3.0%減と2ヶ月ぶりに減少しました。ブレが大きい住居等を除いた場合でも前月比2.6%減と前月の上げ幅より下げ幅が大きく、前月比で見ても消費は弱いという見方は変わりません。

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 費目をみると光熱・水道(前月比+2.5%)など3項目が増加したものの家具・家事用品(▲10.6%)、被服及び履物(▲9.1%)、住居(▲8.7%)など6項目が減少しました。

 消費税増税以降、上向いていた家具・家事用品が4月から6月にかけて増税直後の水準近くまで落ち込み、被服及び履物もほぼ同様の動きに。また教養娯楽は消費税増税以降、上向かない状況が続いています。

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 消費動向を的確にみるために消費支出から世帯人員や物価水準の変動、世帯主の年齢変動を除去した消費水準指数をみると総合が前月比1.3%減の95.2(2010年=100)、月ごとのブレが大きい住居等を除く消費支出は同1.4%減の96.1とともに2ヶ月ぶりに減少となりました。

 消費税増税以降、消費はかなり緩やかながら持ち直す傾向が続いていましたが、今回の結果で持ち直しているとは言えず横ばい圏で推移しているといったほうが良い状況になっています。 

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 今後ですが賃金がようやく前年を上回り始め、夏のボーナスもある程度は期待できるほか原油価格の低下からガソリンや電気代などが低下しており、家計は消費を増加しやすい状況になっています。

 ただ食料品を中心に価格は上昇しやすいことから、物価高を感じて消費は抑制しがちになりそうです。世帯主および配偶者の収入の増加により可処分所得がどの程度上向くかが分かれ目となりそうですが…。

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2 8月

6月消費者物価指数を振り返る

【6月消費者物価指数】
 総務省統計局が31日に6月の消費者物価指数を発表。

 6月の消費者物価指数・総合は前年同月比0.4%上昇、前月は0.5%上昇。
 生鮮食品を除く総合は前年同月比0.1%上昇、前月は0.1%上昇。
 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合は前年同月比0.6%上昇、前月は0.4%上昇。

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■費目別
 食料は前年同月比2.5%上昇、前月は3.1%上昇。
 住居は前年同月比0.1%低下、前月は0.1%低下。
 光熱・水道は前年同月比3.1%低下、前月は1.7%低下。
 家具・家事用品は前年同月比0.7%上昇、前月は0.3%上昇。
 被服及び履物は前年同月比2.0%上昇、前月は1.8%上昇。
 保健医療は前年同月比0.7%上昇、前月は0.5%上昇。
 交通・通信は前年同月比2.0%低下、前月は2.4%低下。
 教育は前年同月比1.5%上昇、前月は1.5%上昇。
 教養娯楽は前年同月比0.7%上昇、前月は0.7%上昇。
 諸雑費は前年同月比0.5%上昇、前月は0.5%上昇。

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 詳細は総務省統計局で確認できます。

 6月の消費者物価指数(総合CPI)は前年同月比0.4%上昇と前月(0.5%上昇)から上げ幅を縮小、日本銀行の政策目標とされている生鮮食品を除く総合(コアCPI)は同0.1%上昇と前月と一致、市場予想(0.0%)を上回りました。

 一方、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年同月比0.6%上昇と前月(0.4%上昇)から上げ幅を拡大しました。生鮮食品が鈍化したものの家庭用耐久財や教養娯楽用耐久財が加速しています。なお持家の帰属家賃を除くは前年同月比0.5%上昇と前月(0.7%上昇)から鈍化しています。

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 内訳をみると食料は前年同月比2.5%上昇と前月(3.1%上昇)から上げ幅を縮小しました。ただ生鮮食品(5月+11.0%→6月+7.2%)が鈍化したためで生鮮食品を除く食料(5月+1.6%→6月+1.7%)はほぼ横ばいとなっています。

 分類でみると生鮮食品の割合が大きい野菜・海藻(5月+11.8%→6月+8.6%)が上げ幅を縮小したものの穀類(5月▲3.1%→6月▲2.7%)が下げ幅を縮小、乳卵類(5月+3.0%→6月+3.5%)が上げ幅を拡大しています。

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 エネルギーは前年同月比7.0%低下と前月(6.0%低下)から下げ幅を拡大しました。灯油(5月▲21.7%→6月▲21.1%)やガソリン(5月▲15.2%→6月▲14.2%)が下げ幅を縮小したもののガス代(5月▲1.1%→6月▲2.9%)が下げ幅を拡大、電気代(5月+0.5%→6月▲1.5%)がマイナスに転じています。

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 財のうち耐久消費財は前年同月比0.6%低下と2ヶ月ぶりにプラスに転じました。新製品による影響から家庭用耐久財(5月▲1.1%→6月+0.6%)や教養娯楽用耐久財(5月▲1.7%→6月+0.4%)がプラスに転じています。

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 半耐久消費財も前年同月比1.9%上昇と前月(1.7%上昇)から上げ幅を拡大しました。衣料(5月+1.4%→6月+1.6%)やシャツ・セーター・下着類(5月+1.9%→6月+2.2%)が上げ幅を拡大しています。

 サービスのうち一般サービスは前年同月比0.3%上昇と前月(0.1%上昇)から上げ幅を拡大しました。外食(5月+1.3%→6月+1.8%)が上げ幅を拡大したほか通信・教養娯楽サービス(5月▲0.3%→6月0.0%)が下げ幅を縮小しています。

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 今後ですが食料品は通貨安から輸入品を中心に値上げが続き、エネルギーは石油製品が下げ幅を縮小するものの電気代は下げ幅を縮小するため物価押し下げ圧力は年内は続く模様です。
 
 食料やエネルギーを除く財では耐久消費財で見られた持ち直しの動きが持続しましたが今後も続くかは不透明、足元の消費はさほど強くないため価格を維持できるかどうか注意したいところです。

 サービスではウェイトが大きい家賃関係は需給関係から低下圧力が働きやすく、他のサービスはブレやすい宿泊料や外国パック旅行等により上下にブレつつも横ばいで推移しそうです。

 7月以降もエネルギーの押し下げが緩やかに縮小していくなか食料品や耐久消費財の値動きによりマイナスになるか決まる状況が続き、7月についてはマイナスになりそうです。8月以降はふたたびプラス圏に復帰しそうですが消費動向によっては時間がかかる可能性も…。

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